オリオン座を見つけよう

冬は、一年中で一番星空がきれいな季節。冷たく澄み切った空気が、瞬く星達をいっそうきらびやかに見せてくれます。その中でもひときわ目立つのがオリオン座の星の並び。まずはこの星座から探してみましょう。

冬、南の空に、砂時計のような形で並んでいるのがオリオン座の星達です。この星図で見ると、左上には赤い星、右下には白い星が輝いていますが、どこにあるか、わかりますか?

これは真冬の夜南の空に見られる星座たち。
オリオン座はどこかな?星図にマウスを重ねてみてね。

オリオン座を見つけよう

簡単だったでしょ?星図で見るとそれほどでもありませんが、実際の星空で見てみると、この特徴的な形がきっとすぐにわかりますよ。オリオン座は、冬の星座を探すときにとても便利な目印になりますので、ぜひ覚えておいてくださいね。

そうそう、一つ、探し方のコツ?をお教えしましょう。それは、「(多分)想像よりも大きい」ということ(笑)。実際の星座は、本やパソコンの小さな画面で見るよりも、ずっとずっと大きく感じるはずです。オリオン座に限らず、星座を探すときは、そういうつもりで見てみるといいかもしれません。

さて、上の図は真冬の夜に見える星空ですが、星座は、日時によって少しずつ違う位置に見えています。もちろんオリオン座も、いつもいつも南の空に見えているわけではありません。例えばほら、こんな感じに、その時々で方角も傾きも違って見えるんですよ。

東の空のオリオン座

東の空に見えるとき
冬の夕方や秋の夜

南の空のオリオン座

南の空に見えるとき
冬の夜

西の空のオリオン座

西の空に見えるとき
冬の明け方や、春の夜

冬の星座めぐりには、まずオリオン座と仲良くなりましょう。見慣れてくると、オリオン座が、その時々の時間や方角まで教えてくれるようになりますよ。

オリオン座のお話

オリオン(Orion)とは、ギリシャ神話に登場する狩人の名前です。(「狩人」と聞くと「あずさ2号」と連想してしまう私は歳かしら…) ギリシャ神話の他にも、世界中に残る神話や伝説で、この星座を巨人に見立てているのだとか。オリオン座の星座絵は、下の星図にマウスを重ねて見てみてくださいね!

ちなみに、オリオンの右肩に当たる赤い星はベテルギウス(Betelgeuse)といいますが、この名前、巨人の脇の下という意味なんだそうな。…初めて聞いた時は、ワタクシ、つい大笑いしてしまいました!左足に当たる白い星はリゲル(Rigel)。こちらは巨人の左足だそうです。そのまんまだー(笑) そして、オリオンのベルトの部分に当たる三つの星を、オリオンの三ツ星と呼んでいます。

このオリオンにまつわるギリシャ神話は数パターンあるのですが、今回は女神アルテミスとの恋物語バージョンでご紹介しましょう。

オリオン座 画像オリオンは、海の神ポセイドンの血をひく美青年で、ギリシャ一の力持ち。狙った獲物は逃さない素晴らしい腕の狩人で、そればかりか、ポセイドンの血を受け継ぎ、海の上を自由に歩き回ることができました。

野を山を駆け巡るオリオンの雄姿は、ある時、月と狩りの女神アルテミスの目にとまりました。二人はたちまち恋に落ちたのです。それ以来オリオンとアルテミスは、片時も離れず行動を共にするようになりました。

しかし、二人の仲を快く思わない者がいました。太陽の神アポロンです。アルテミスの兄であるアポロンが、処女神である妹と人間の血をひくオリオンの恋を許すはずがありません。アポロンは幾度となくアルテミスを説き伏せようとしましたが、しかしアルテミスは耳を貸そうともしないのです。

そんなある日のこと、アポロンはアルテミスを海岸に呼び出しました。そして、海の彼方に見える小さな点を指差し、こう言ったのです。

「アルテミスよ、人間などと遊んでばかりで、狩りの腕も相当落ちた事だろう。今のお前に、あの小さなものを射落とすことなど出来まい」

「(まあ、お兄さまったら、見ていらっしゃい!)」

それを聞いたアルテミスは、持っていた弓をつがえると、勢いよく矢を放ちました。狩りの女神アルテミスが、狙った獲物を逃すはずがありません。その小さな点は波間に消えてしまいました。

ところが、翌日海岸に打ち上げられたのは、アルテミスの矢に射抜かれたオリオンだったのです。アポロンは、海の上を散歩しているオリオンを見つけ、アルテミスに自身に射させたのでした。

自分の愛する人を殺してしまったアルテミスの悲しみは、たとえようもありません。この一部始終を見ていた神々の王ゼウスは、アルテミスを不憫に思い、オリオンを天に上げ星座にしました。それ以来アルテミスは、銀色の月の馬車に乗り、愛するオリオンに会うため夜空を巡っているのです。

…とまあこういうお話なわけですが!

オリオン座にまつわるギリシャ神話は、この他サソリに刺し殺されるバージョン、メローペに求愛する前編付きバージョンなど色々ありますので、興味のある方はギリシャ神話の本を紐解いてみるのも楽しいかもしれませんよ。

さて、最後に一言。オリオンは類稀な美男子のはずなのに、星座絵はゴツイおじさんなんです!私はこれが不満だぁっ!!!